今週のチャート解説(22)

− ファンチャート −

(A)図のように、aからbへと上昇トレンドを描く株価が、下値支持線1を割って次の支持線2で反発すると、今度は1のラインが上値抵抗線に変わることがある。これを上抜けずに反落してさらに2の支持線をも割って3番目の支持線で反発、その後同じように2のラインが上値抵抗線に変わって株価を押し戻し、ライン3をも割るとトレンドは下降に転じさらに一段安へと向かうといわれている。(B)図はその逆で、a'からb'へと下降トレンドを描く株価が、3番目の上値抵抗線3'をも抜いて上昇すると上昇トレンドに転換するという。この1から3のライン、そして1'から3'のラインが扇のファンに似ていることから、これをファン理論と呼ぶ。
次にエリオット波動やGann理論のように、フィボナッチ数列やそのリトレースメントをトレンド解析のツールとして用いる試みが、特に米国のチャート理論に多くみられる。ファンチャートもその一つだ。フィボナッチ数列とは、連続する数値の和を連ねた1,1,2,3,5,8,13,21,34,55・・・ と無限に続く数列のことで、リトレースメントとはその戻りの比率のことをいう。連続する数値の戻り比率は1/1,1/2,2/3,3/5,5/8,8/13,・・・ であって、振幅しながら次第に0.618に近づいてゆく。また1つおきの戻りは1/2,1/3,2/5,3/8,5/13,・・・ と、こちらは0.382に近づく。0.382+0.618=1 という関係にあるが、実は0.618やその逆数1.618は平均律あるいは黄金比と呼ばれ、古代ギリシャの時代から現代まで、いろいろな分野で広く使われている(一般的な名刺の縦横比もその一つだ)。
ファンチャートはトレンド形成および転換の節目となる3本のファンラインを描くことを目的とするが、そのときにリトレースメント0.382と0.618、およびその中点0.5を用いる。なぜフィボナッチ数列なのか、なぜリトレースメントなのかという質問に対しては、多くのケースでその有用性が実際に確認されているとしか答えようがない。具体的な作成方法は(A)図であれば、b点(山)からa点(谷)のレベルまで垂線を下ろし、その中心を0.5のポイントとして上下に0.618と0.382のポイントを印す。この3つのポイントとa点を結ぶと上向きのファンチャートができあがる。(B)図の場合も上下が逆転しているが同様だ。それでは[TOPIX]の週足でこのチャートをみてみよう。

このチャートを描くときは、はじめに基準となる山と谷を決める。(1)図の3本のファンラインはA点を山、B点を谷としたものだ。(2)図ではA点の山はそのままに、谷をD点にシフトしている。これらの図を見ると、(1)図ではB点以降の3本のファンラインがそれぞれ支持線または抵抗線になっている様子が、また(2)図では下側のファンラインが上値抵抗線になり、それを上抜いたあと2番目3番目のファンラインをも抜いてトレンド転換が確認されている様子がよく分かる。このチャートを部分的に拡大し、山谷のポイントを変えると次の(3)図と(4)図になる。



(3)図ではCとDを山谷に設定したところ、EとFという次の山谷を見事に捉えており、さらに上のファンラインを上抜いたところで上昇トレンドに転換している様子がよく分かる。またEとDを山谷に据えた(4)図では下側のファンラインが上昇トレンドの下値支えになっている。
フィボナッチ数列で時間を区切ったタイムゾーンをファンラインと重ねると面白い結果が得られることがある。これらが交差するポイントが、より重要なトレンドの節目になることがある。

(5)図はGとHを山谷に設定したファンラインに、Hが基点のタイムゾーンを重ねたものだ。55週目のタイムラインと上側ファンラインの交点aは直前の底から立ち上がったピーク値近くにある。89週目のタイムラインと中央のファンラインの交点cは98年10月の大底に近い。そして3本のファンラインは99年4月に上昇トレンドに入るまでの株価に対し、時に支持線としてまた抵抗線として機能している。(6)図は同じ[TOPIX]の日足の例だ。

Iを谷、Jを山としたファンラインを描き、Iが基点のタイムゾーンを重ねている。1・2日のずれはあるが、8,13,21,34,55日目のタイムラインはいずれも山か谷付近に位置し、34日目のタイムラインとファンラインの交点はピークのポイント近くにある。

 


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