|
今週のチャート解説(17) バーチャートは高値と安値を結んだ棒足に終値の横棒をつけた時系列チャートで、欧米では広く使われている。ローソク足と同様に相場のトレンドや強弱を確認するために用いられ、2本の株価移動平均線と出来高棒グラフを同時に表示することが多い。(下図は[TOPIX]日足の例)。
次に株価データが終値1本しかないときは、それを結ぶと止め足になる。「株価チャートCD-ROM」ではCD-ROMに収録されているデータの他に、ユーザが独自に作成した時系列データのチャートを描くことができるが、そのデータに終値しかないときはローソク足やバーチャートの代わりに自動的に止め足が表示される。[TOPIX]月足の止め足を移動平均線と一緒に描くと次のようになる。
さてトレンド分析についてはローソク足の項で多少触れたので、ここでは古典的なトレンド理論「エリオット波動」について書いてみたい。1939年にR・N・エリオットが80年間の株価を観察した結果として発表した「波動論」を、その後1960年になって当時の米証券界の重鎮A・ハミルトン・ボルトンがその著書「エリオット波動の原理」に取り上げて一躍脚光を浴びた理論だ。 その基本は5波からなる方向波と3波からなる訂正波で、この波動サイクルはフィボナッチ級数によって説明されるという。ちなみにフィボナッチ級数という不思議な数列は、ファンチャートやGannチャートなど他の米国製テクニカルチャートでも、そのベースを形成している。 フィボナッチ級数についてはいろいろと興味深い性質が観察される(一例として、この数列の上位数を下位数で割るといわゆる黄金分割と呼ばれる比率(1.618倍)に近づいてゆく)が、ここでは次のように無限に続く数列だということに注目していただきたい。 1,1,2,3,5,8,13,21,34,55,89,144,233,377,・・・・・ この数列は連続する2つの数字の和をその上位に置くことによって作成される。
方向波が上昇波動の時、株価は図下部のように、1から5の連続した5つの波動によって上昇し、これが完了すると(1)から(3)の3波の訂正波動で下降する。次に再度1から5の上昇波動とその訂正の3波、およびもう一段の上昇波5波が続いて一連の上昇サイクルが終了する。ここまでが図上部のTからXの波動となる。次に(T)から(V)の訂正波動がやってくる。図下部の1'から5'の下降波動と(1)'から(3)'の訂正波動、そして再度の1'から5'の下降波動がこれに相当する。 ここでTからXの上昇波(方向波)を図下部の波動数で数えると21波、(T)から(V)の訂正波は13波となる。さらにTからXを上昇1波と見ると、この場合の上昇5波は図下部の波動数に換算して89波、下降3波は55波となる。そしてまた、さらにその上の波動では上昇377波、下降233波と続いてゆく。 このように株価の波動はフィボナッチ級数に分解されて説明されるというのが、「エリオット波動」の基本的な考え方だ。波動の大きさについては9週類に分類しているが、そのなかでもよく使用されるのは、スーパー・サイクル(周期約50年)、サイクル(同10年)、プライマリー(同1〜5年)、インター・ミデット(同数ヶ月〜1年)の4つの波動だ。また個々のケースでは方向波1波がさらに5つの波動に分かれるエクステンション、第5波が小波動に分かれる斜型三角形などいくかのバリエーションがあることを掲げている。 大きな波動のなかに同じような小さな波動があるというこのような考え方は、近年株価分析にもその応用が研究されているフラクタル理論に通じるところがある。 東洋経済新報社 All rights reserved. |