今週のチャート解説(9)

移動平均乖離率

ある一定期間の株価の平均を、期間最終日の値としてプロットし、これを日々継続すると株価移動平均線になる。たとえば日足10日移動平均線は、当日を含めた過去10日間の株価の平均を求め、これを当日の移動平均値として日々プロットするものだ。

この移動平均線(MAMoving Average)を用いたチャート理論として、“グランヴィルの売買信号”がよく知られている。これは日足株価線と1本の移動平均線(グランヴィルは200日線を使用)を組み合わせて、その形から売買信号を読みとるものだ。

上図の赤線が株価移動平均線(MA線)で、黒線が株価線だ。これをグランヴィルは次のように説明している。

[買い信号(1)
MA線が下降後、横這いから上昇に転じ、株価線がこれを下から上に突き抜けるのは重要な買い信号。

[買い信号(2)
MA線が上向きなのに、株価線がこれを下回るときは、その下げは一時的なものとみて押し目買い。

[買い信号(3)
株価線が
MA線の上にあって、MA線に接近することがあっても、これを割り込まずに反発するときは、騰勢変わらずとみて押し目買い。

[買い信号(4)
下向きの
MA線を、株価が大きく割り込むときは、下げ過ぎからの修正を見込んで、短期的には買い。

 

売り信号は、買い信号のそのまま裏返しになる。
さてこれらの信号、特に
(1)(3)(4)は乖離率の問題として捉えることができる。株価線の細かな変動を除去するために、これを短期の移動平均線(短期MA)に置き換えると、長期の移動平均線(長期MA)との乖離率は次式で求められる。

乖離率(%)=(短期MA/長期MA1)× 100

下図は[8151 東陽テクニカ]の日足乖離率と、[8056 日本ユニシス]の週足乖離率のチャートだ。移動平均項数はともに5(短期線)と25(長期線)にしてある。



乖離率= 0 のラインが短期線と長期線の交差するポイントで、乖離線が(-)から(+)に抜けると買い信号(1)、その逆が売り信号(1)、乖離線が0ラインから上下に遠く離れると、それぞれ売り/買い信号(4)になる。この信号(4)では過去の乖離率と比較して、現乖離率の相対的な大きさを判断する。そして0ラインに近づいても、それを抜けることなく引き返すと売り/買い信号(3)になる。これらの信号が、長期線が上昇中に発せられたのか、下降中のものなのかは、チャート上部の実際のMA線で確認する。以上が“グランヴィルの売買信号”を乖離率チャートから読みとる方法だ。ちなみに「株価チャートCD-ROM」には、この乖離率の大きさで銘柄をランキングする機能があり、売り/買い信号(4)の状態の銘柄をピックアップできる。また株価単純移動平均線の代わりに、コスト移動平均線(チャート解説(2)「スプレッド指数」の項参照)を使用することもできる。

なおこのチャートはもっと単純に、

1.乖離線が上向きに転じると買い信号
2.乖離線が下向きに転じると売り信号

とする読み方もあるが、これはベクター・モーメンタムやコポック買い指標と共通した読み方だ。これについては下図が興味深い。

これは[6762 TDK]週足の3つのチャートを比較したものだが、それぞれ作成方法が異なるのに、非常に似た形状をしている(ただしそれぞれのチャート設定値は、初期値から変更している)。一つのチャートでは、往々にして“ダマシ”に悩まされるが、これらのチャートを相互に比較することで、これを軽減することができる。


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