今週のチャート解説(2)

スプレッド指数

株価チャートには、株価の流れを捉えるトレンド・チャートと、うねりに注目して反転時期を探るオッシレータ・チャートとがある。前者の代表にはローソク足やバーチャート、そして株価の細かい変動を平滑する株価移動平均線などがあり、長短2本の株価移動平均線から相場を予想する、グランビルの売買信号などは特に有名だ。

後者にはRSI、RCI、ストキャスティックスなど多くのチャートがあり、今回解説するスプレッド指数もその一つといっていい。

スプレッド指数は、乖離度分析といわれる分析手法によるものだ。乖離度分析とは、例えば、よく似た動きをする(相関性の強い)2つの株価は、ある時大きく乖離しても、それはいずれ収縮するだろうという考え方に依ったものだ。そして乖離の度合いが大きくなるほど、収縮のとき(反転時期)が近いと考える。

同じことを、1つの銘柄で、トレンド線に対する株価の乖離と考えると、それがスプレッド指数のもとになる。

「株価チャートCD-ROM」では、トレンド線として株価移動平均線、コスト移動平均線、数学的手法による平滑線のいずれかを選択できる。またトレンド線に対する株価線には、実際の株価では細かい変動が多すぎるため、短期の株価移動平均線、コスト移動平均線、平滑線から選択して指定できる。

株価移動平均は、例えば5日移動平均であれば、5日分の終値を足して5で割って求め、コスト移動平均は株価と出来高を加重平均する。つまり1日目100円で1000株、2日目150円で2000株のコスト移動平均は(100x1000+150x2000)/3000=133.3円となる。

この2つの移動平均線は、過去の一定期間の平均値という性質上、どうしても株価への追随に遅れが生じる。そして相場の変動が急激だと、遅れの度合いも顕著になる。それを改善しようとしたのが平滑線だ。

平滑線は、数学的にこの遅れを軽減しようとするもので、これには指数平滑、自己回帰、重回帰、その他工学的なものも含めていくつかの方法があるが、その一つを「株価チャートCD-ROM」では採用している。平均日数の関数である平滑係数(スプレッド設定ダイアログでは「比較線項数1/2」と表現している)は、移動平均と同じく、大きくなるほど平滑の度合いも大きく、小さくなると実際の株価の動きに近くなる。ただしこの平滑線には移動平均線とは別の特徴があって、最後の株価が昨日までの流れと大きく異なると、平滑線自体も位置をずらしてしまうことがある。これは2軸座標に散布する点の直線回帰が、最後の値の変動によって、直線の傾きも変わってしまうのに似ている。つまり平滑線を株価分析に利用するときは、その最後のポイントを最も注目することになるが、それは今日までの株価が形成した値であって、明日の株価次第では別のところに移動してしまう可能性がある。昨日は買場を示していたのに、今日見たらそれが消えていたということもあり得るのだ。それが今日のポイントは明日も変わらない、株価移動平均線やコスト移動平均線とは異なる点だ。こういうそれぞれの特徴を理解して、どのトレンド線を採用するかは、ユーザ自身が決めないといけない。

さて、トレンド線に対する短期の移動平均線/平滑線の乖離が、スプレッド指数を計算する基準期間内では正規分布すると仮定して、スプレッド値は次式で求められる。これを0から100までの指数に変換し、時系列に連続させるとスプレッド指数になる。なお、スプレッド設定ダイアログで、サンプリング期間とあるのはこの基準期間のことで、これは次式の「平均スプレッド」および「標準偏差」を求める期間に等しい。

 スプレッド値

   =1- N[(現在のスプレッド-平均スプレッド)÷(スプレッドの標準偏差)]

 ただし、 N[ ] は正規累積密度関数

この式の定性的な意味合いは、基準期間内の、トレンド線対短期線の乖離の平均値および標準偏差から、現在株価が平均値に向けて収れんする確率を0から100までの指数に置き換えたものだ。RCI同様に、指数80以上が高値圏、20以下が安値圏の目安であるとしている。


このチャートを[8068菱洋エレクトロ]の実際の株価で見てみよう。図上部は98年10月安値を日足指数で捉えて赤マークを印し、図下部は98年6月高値を週足指数で捉えて青マークをつけたものだ。トレンド線はいずれも平滑線を採用しており、日足指数には初期設定のままの15日線に対する5日線の乖離(サンプリング期間:25日)を、そして週足指数には26週線に対する13週線の乖離(サンプリング期間:50週)を、描画条件として付与している。

また平滑線は、先に書いたとおり、時としてその形状が変わることがあるので、それを元にしたスプレッド指数の形状も変化する可能性がある。そこで上図では、右端に安値/高値の信号が出たチャートと、時間が経過して上昇/下降を確認できたチャートを左右に対比させた。

上図からは分かりにくいが、やはり時間経過後の若干の形状変化が認められるものの、スプレッド指数が見事に安値/高値を捉えていたことが確認できる。


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